うちのお雛様

お雛様を飾りました。

子どもの頃、うちにはお雛様がありませんでした。

友だちの家のお雛様がすっごくうらやましくて。

だけど、うちは貧しいからお雛様はないんだろうな。

弟たちの5月人形や鯉のぼりはあるけれど

あれは男の子で跡継ぎだから買ってもらえたんだろうな。

欲しいなんて言っちゃいけない、

そんなことをしたら、怒られるか悲しむかに決まってる、

そう思って、怖くて聞けませんでした。

大人になって、娘が生まれて、親がお雛様を買ってくれることになりまして、

そのときに母が言ったんです。

「あんたのお雛様は火事で燃えちゃったからね～」

そうだったのか。

小さい頃家が火事になったという話は聞いていたけれど

買ったばかりの冷蔵庫を母親が抱えて持ち出したという笑い話になっていたけれど

あのときにわたしのお雛様は燃えていたのか。

ちゃんとわたしのお雛様はあったんだ。

何十年かのモヤモヤが一気に消えていきました。

早く聞いておけばよかった・・・

うちのお雛様。

娘のだけど、わたしのだいじな宝物です。